ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)検査
ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)と除菌療法について
ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は1982年にオーストラリアの研究者によって発見、報告されました。4~8本のべん毛をもち、らせん形をした細菌です。この菌はウレアーゼという酵素を産生し、胃液中の尿素を分解しアンモニアが生成されます。これが胃酸を中和することで強酸性の胃内で生息できると考えられています。
ヘリコバクター・ピロリと消化管疾患
ヘリコバクター・ピロリは胃炎や消化性潰瘍の患者さんの胃内から高率に検出されることが報告されています。40歳以上では80%の人が感染しています。
- ピロリ菌が産生するアンモニアが胃の壁を傷つけます。
- ピロリ菌は細胞を弱くする毒素を持っています。
- ピロリ菌は炎症を引き起こします。
- ピロリ菌は胃を守っている粘液を減らし酸や食事の攻撃を受けやすくします。
リコバクター・ピロリ除菌療法による潰瘍再発の防止
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除菌の成功率は約70~80%です。
(成功率の低下は耐性菌の増加が原因と考えられます) - 除菌療法を受けることで今まで治りにくかった潰瘍が治ったという報告が多くあります。
- 一部の胃酸分泌抑制剤、抗生物質、胃粘膜保護剤でこの菌の増殖が抑えられることが確かめられています。当院では1回の治療で胃薬1種類、抗生物質2種類を1週間投薬する3剤併用療法を行っています。
- 除菌により次のような効果が期待できます。
- 潰瘍が再発しにくくなります。
- お薬を飲み続ける必要がなくなります。
- 現在ある潰瘍が早く治る可能性があります。
ヘリコバクター・ピロリの検出方法
■内視鏡検査を必要とする方法
- 胃粘膜内の細菌培養を行う
- ピロリ菌の酵素ウレアーゼを計る
■内視鏡検査を必要としない方法
- 血液、尿、便中のピロリ菌の抗体や抗原を計る
- 尿素呼気試験を行う
ヘリコバクター・ピロリ除菌後の効果判定
除菌療法終了4週間後に再度内視鏡検査を行い、潰瘍の治り具合を観察するとともに上記と同じ方法でピロリ菌の有無を調べます。あるいは尿素呼気試験により判定します。薬の飲み方によっては4週間以上期間をあけて判定をしなければならない場合があります。
ヘリコバクター・ピロリ除菌療法の副作用について
副作用には個人差がありますが、比較的よく現れる副作用として下記のようなものがあります。副作用の多くは服薬期間中のみにみられますが、中には服薬終了後しばらく続く場合もあります。
- 下痢、軟便
下痢や軟便が出現する場合があります。もともと下痢を起こしやすい方には除菌薬と一緒に整腸剤を服用していただいておりますのでご相談下さい。 - 味覚障害(口が苦くなる)
程度の差はありますが比較的よくみられる副作用です。舌炎、口内炎、口角炎などもみられる場合があります。服薬が終了すればすぐに消える副作用です。